第2クラスター
以上の3つで第1クラスターの追跡調査を行ったが、最後に、第2クラスターの追跡調査を図表1で確認する。
この図は、第2クラスターの学生が『希望調査』からどういう経路を経て専門演習に至ったのか、その推移を示している。これを見ると、唯一『希望調査』を提出した学生は希望したAコースの基本演習所属となった。それ以外の90名はランダムに割りあてられている。結果として、A・Bコースに多くの学生が割りあてられることになった。その理由は第1クラスターの学生のうち203名がC・Dコースの基本演習に割り振られ、その段階でかなりの定員が埋まったからだと考えられる。
次に、第2クラスターの学生が基本演習からどこの専門演習に所属したかを確認する。ここで太い矢印に注目すると、Aコースの基本演習所属26名のうち18名、Bコース所属26名のうち11名、Cコース所属14名のうち8名、そしてDコース所属6名のうち3名が専門演習に所属しなかった。基本演習に所属しなかった19名全員がどこの専門演習にも所属しなかったため、最終的に第2クラスター全体では64.8%にあたる59名の学生が専門演習未所属であった。
ちなみに、第2クラスターにおいてランダムに割り振られた基本演習と同じコースの専門演習所属になった学生はAコース2名、Bコース5名、Cコース1名、Dコース2名の合計10名(11.0%)しかいなかった。
若干の考察
ここまでは受講登録者をクラスターやグループに分け、『ランキング調査』から専門演習に至る経路を見る中で、分類された学生の特徴について検討してきた。ここでは、これまでの結果を「一致する」ことをキーワードにしてまとめておこう。
ランキング1位と第1希望のコースが一致した学生は合計122名(第1クラスター第1グループ113名、第3グループ9名)、受講登録者全体に占める割合は24.9%、第1クラスター全体に占める割合では30.7%だった。この結果は、受講登録者全体で見れば約4分の1しか『ランキング調査』と『希望調査』の回答が一致せず、導入講義の主旨が十分伝わっていない実情が改めて浮かび上がる。
次に、第1希望と基本演習のコースが一致した学生は合計241名(第1クラスター第1グループ202名、第2グループ22名、第3グループ16名、第2クラスター1名)、受講登録者全体に占める割合は49.3%、第1クラスター全体に占める割合では60.3%だった。一見、第1希望の半数程度しか叶っていないように見えるが、『希望調査』を提出すれば6割程度は第1希望の基本演習に所属できたとも解釈できる。
とはいえ、学生の一定数が第1希望に所属できなかった要因は、第1希望がC・Dコースに集中する傾向があり、抽選を行わざるを得ない事情が影響したと考えられる。最後に、基本演習と専門演習のコースが一致した学生は合計161名(第1クラスター第1グループ111名、第2グループ18名、第3グループ22名、第2クラスター10名)、受講登録者全体に占める割合は32.9%だった。第1クラスターの学生全体の割合でも37.9%と4割にも満たなかった。
図表2より基本演習と専門演習間の相関がほぼなかった結果を踏まえると、基本演習が専門演習を通じて更なる専門性を高めようという動機づけになっていないことを物語っていると言えよう。
では、本当に一貫したコース選択をした学生がいなかったのか。このことについてさらに検討する。その結果が図表3に示されている。