先生は「みんなちょっときてー! すわって」とみんなを集めた。みんなお山すわりをした。

「こうちゃんが『おっぱい』って言ったみたいだけど、それって、いけないかなぁ?」と言った。

みんなは「いけなくないけどー。ちょっとキモい」「はずかしいよね」と言っていた。

「そうなんだー! 先生、今まで生きてきて、おっぱいがきらいって人は見たことないよ。

だってさ、おっぱいはすごいよ! みんなもそうだけど、赤ちゃんが生まれてから、すぐに生まれた赤ちゃんのためにひつようなえいようが出るんだよ。

母にゅうって言うんだけどね。そして、みんながごはん食べられるようになるまで、ごはんの代わりにおっぱいが大活やくするんだよ! 

もちろん、母にゅうが出ないお母さんもいるけど、みんなは、お母さんのやわらかいおっぱいとうでにだっこされて、こんなに大きくなったんだよ! 本当にきらいかな? キモいかな?」と先生は言った。

みんなびっくりした顔していたけど、こうちゃんが一番に「……ぼく、おっぱいすきだ」と言った。

みーちゃんも「わたしも……気持ち悪いって言っちゃったけど……でも、でも本当はね……おふろに入るとき、ママのおっぱいをぼよんぼよんてやって、楽しいの。だからほんとはすきなんだぁ」って言った。ちょっぴりはずかしそうだったけどね。

するとそら組のみんな「おっぱいはえらいね! やっぱり好きだー」って。

おれ、はずかしかったけど、みーちゃんもはずかしがりながら言ってたからさ。

「おれも、ママのおっぱいさわるとねむくなる」と言った。

おれは、みんながおれのこと見るだろうと気になっていたけど、みんなが、おれのことを見る前に、先生がすぐに言った。

「だよねー! よかった! 先生だって、おっぱい大すきだよ。だからね、みんなおっぱいきらいにならなくていいよ! 

だけど、『おっぱい大すき』っていつも言っていたら、はずかしいよね? だからね、きらいにならないで、言っていい時と相手を考えて、すきな気持ちはとじこめなくていいんだよ」と先生は言った。

「そっか! すきなことをかくさなくていいんだ」おれはちょっと安心した。みんなも安心した顔していた。

でも、やっぱりちょっとはずかしいから、大すきなのはかくしておこうかな?

先生は「おっぱいをきらいな人なんて見たことない」と言っていた。

おれはママとパパに「ねえ、おっぱいすき?」と聞いてみた。

「なんで! そんなこと聞くんだ?」とパパがビックリした顔で言った。

おれはようちえんで今日あったことを話した。すると2人ともわらって「大すきだよ」と答えた。大人もみんな、おっぱいがだいすきなんだ!

おれ、もっともっとかっこいい男になるけど、「おっぱいなんてだいきらい」とはぜったいに言わないよ。だからって「おっぱいだいすき」ともやっぱり言わないけどね。