世界遺産の街

エリカ街道走りゴスラーヘ

ハンブルク中央駅を出発したIC(インターシティ)は快走して、道中つつがなくリューネブルクへ着いた。この可愛らしく清潔な街はかつて塩の生産地だった。ホテルのフロイラインが可憐で感じが良かった(宿泊二人〈以下同じ〉八六ユーロ)。

翌日エリカの花咲く高原へ行ったがバスが来ず、タクシー(往復五六ユーロ)と馬車(三〇ユーロ)で雨まで降り出して散々だった。すぐ次の街ツェレへ行った。木組みの家が色とりどりで楽しいが、上の階へ行くほど建物自体が外にせり出しているのに気づく。昔の税金は、一階の広さによって決められていたので人々が工夫したものだという(宿泊一〇一ユーロ)。

翌日(十五日)ヒルデスハイム乗り換えでゴスラーへ行った。ゴスラーは中部ドイツのハルツ山地の斜面にあり、中世より銀鉱の採掘にともなって発展してきた。一時神聖ローマ帝国の皇帝居城になり、ハンザ同盟にも加盟していた古都で、現在は旧市街地と旧鉱山が世界遺産に登録された観光地になっている。市庁舎とマルクト広場の周辺は賑わっていて、木管五重奏がモーツァルトを合奏したりして楽しい。

観光バスで街をていねいに見てから皇帝居城に入った。二階の帝国の広間で大壁画を見ていると、二、三歳の男の子がちょこちょこと来て私の顔をジッと見るから、国際親善はこの時と百面相をしたら三分くらいでやっとニコッと笑って大成功だ。古びた宿「ディ・タンネ」(二泊一五六ユーロ)もよく、夕食のシュバン(白鳥:三一ユーロ)は木造の古めかしい内装で、玉ネギつきステーキとボルシチがすこぶる美味。

翌日は旧東ドイツのハルツ山地の最高峰ブロッケンにのぼった。ヴェルニゲローデからSLのハルツ狭軌鉄道で二時間で山頂まで行くが(往復四八ユーロ)、途中の森林は気分が良いが、山頂は「ヴァルプルギスの夜」に魔女が集合するにしてはあっけらかんとしたはげ山で、ソ連の基地の跡がある。

列車の中で一人のドイツ人が相撲の真似をしたりして、少しメタボリックな私に人種差別行為をして不愉快だった。田舎ではナチスの根がまだあるとは思いたくないが。