整骨の手術の効き目は
京都に高名な整骨師がいると聞くも紹介者がいないと診てくれないという。
何とか、伝手を頼って行くことになった。行ってみると住宅街の中の瀟洒な数寄屋造りの家である。二、三軒手前の道で変な老人が立っている。だらしなく帯を締め、着物の前がはだけ下ズボンが見えている。
あたりさわりのない挨拶をし、整骨の先生の住まいを訪ねると、数寄屋造りの家を教えてくれ、玄関に入ると女の人が一部屋に案内してくれた。
待合室に行くと先に六、七人の先客がいて若い人はいなかった。聞くともなしに聞いていると、先生は二人いて、息子さんはここにいて別の部屋で施術し、私が案内された部屋は大先生が施術する部屋らしい。大先生は東京、名古屋、九州と何箇所も整骨院を開き、新しい患者はほとんど若先生が診ているらしい。
「先ほどの女の人が時間になりましたので」と大先生と共に部屋に入って来た。大先生とは道で会った変な老人ではないか服に着替え威儀を正し、皆に挨拶をし、施術が始まった。
私の番になり部屋に入ると症状を詳しく聞かれ、マットにうつ伏せになるように言い、首から背骨を丁寧に探り下から何番目かの骨がずれていると言い、私を座らせてずれている箇所に膝頭を当て後ろから両肩に手をかけ後ろに引っ張るとバキバキバキッと音がした。
施術が終わり待合室に戻ると先の人たちは世間話をしていて、大先生も加わりしばし談笑ののち家路につき、その夜は泥のように眠った。整骨の施術はとてもよく効いた。
あくる日からは、吐き気だるさ握力の衰え等一切なく、すっかり元の体に戻ったと思った。しかし、一週間だけで吐き気だるさを感じ、握力がなくなってしまう。次回施術に行くと六日、次々回は五日と体調が良い日は短くなっていく。もう私の行く所はなくなってしまった。
時を同じくして田舎でも異変が起こっていた。姪が原因不明の病に苦しんでいた。近くの病院はもとより、四国中の名のある病院を祖母である私の母と巡っていた。病院を変わるたびに病名が変わり、何処に行っても体調が良くならない。