二階には、木の色をした四人掛けのテーブルが、十組整列していた。二階の方が少し薄暗くて、天井からさがるオレンジ色のライトが可愛かった。二階の隅に、おいやられたように望風の好きなテーブルは置かれている。そのテーブルを隠すように、ピアノ、ドラム、ギター、器材、マイクスタンド、ウォーターサーバーなどが何気なく並んでいる。気取るわけでもなく、アピールするわけでもなく、ただ並んでいた。
何種類ものギターやアンプやスピーカーも、すごくなんとなく、何気なく……。昔、誰かの夢がつまっていたのかな、そんな懐かしいような、切ないような、そんな空気感がある。望風は、その歴史も担ぎたかった。誰かの想いがつまっているかもしれないと思うと、愛おしくてたまらなかった。望風は、他人の想いも自分のパワーにしていた。
あなたに会う資格 詩 武士 曲 望風
ただじゃれあっていれば毎日笑っていられて
ただなんのしがらみもなくあなたに会えた
僕がもっと大人だったなら
あなたを手放さずにすんだのに
僕がもっと大人だったなら
あなたを泣かさずにすんだのに
もう一度あなたの笑顔がみたくて喜ばせようと背伸びする
現実を知れば知るほど遠ざかるあなたの声さえ思い出せない
僕を見つめる眼差しが
求められる答えが
僕には重すぎた
僕がうばってしまったんだ
あなたの笑顔を
僕がうばってしまったんだ
あなたの優しさを
僕はもうあなたに会う資格なんてないんだ
その資格を手に入れるのに
どれだけの時間を費やすのだろう