俳句・短歌 短歌 2022.02.20 短歌集「蒼龍の如く」より三首 短歌集 蒼龍の如く 【第50回】 泉 朝雄 生涯にわたって詠み続けた心震わすの命の歌。 満州からの引き揚げ、太平洋戦争、広島の原爆……。 厳しいあの時代を生き抜いた著者が 混沌とした世の中で過ごす私たちに伝える魂の叫び。 投下されしは新型爆弾被害不明とのみ声なくひしめく中に聞きをり 伝へ伝へて広島全滅の様知りぬ遮蔽して貨車報告書きゐし 擔架かつぐ者も顔より皮膚が垂れ灼けただれし兵らが貨車に乗り行く 新聞紙の束ひろげてホームに眠る中すでに屍となりしも交る 息あるは皆表情なく横たはり幾日経てなほ煤降るホーム (本文より) この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 しけあとの雲の動きの迅くしてもるる日射は海に移れり 山峡の遅き若葉に音立てて五月の雨はすぐにやむなり 国ざかひ越えつつ下る汽車迅し百済野遠く展け初めぬ
エッセイ 『カサンドラ症候群からの脱却[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 Happy Navigator 那美 妊娠4ヵ月目の裏切り......夫が会社の同僚と肉体関係を持っていた。「だってお前が、子どもを欲しがったから」 夫とは、私の会社の同僚の友人という形で知り合い、1年半のお付き合いの後、結婚しました。もちろん、幸せになるために結婚しました。子どもたちと一緒に温かい家庭を築くことが目標でした。1年半のお付き合いの中でも、私は特に彼に違和感を持つことはありませんでした。いま思えばなんですが、結婚に関して前進する手続きはすべて私がやりました。・結婚するまで二人で積立する・家具や生活用品を買う・結婚式の日取りを決め…
小説 『ラガーマン ジャッカル翔』 【第19回】 上山 照 競馬で勝って大はしゃぎ!話がひろがり、糸口のみえない襲撃事件の話を口にすると、「えっ」と急に大きな声で驚く友人。 急に男の重みが増したので息苦しくなり亡くなったと思ったその時、男が目の前から消え、ボディガードのハッサムが吃驚した顔で覗いているのが見えた。「大丈夫?」と身体をゆすられ心配そうに兄の王子イリヤが見たので「大丈夫!!」と答え、心此処に有らずだったわ!と感じていた。王子のイリヤも車の中で、亡くなったサドルの事をずっと思い出していた。サドルの上手な指導のお陰でイリヤの弓の腕は国の中でもサドルには及ばな…