スタチン系薬剤と横紋筋融解症と筋肉障害
 

スタチン系薬(プラバスタチン等)はHMG-CoA還元酵素阻害作用で血清コレステロール値を下げる薬ですが、横紋筋融解症という重大な副作用を持っていることでも有名です。その機序はスタチンによるHMG-CoA還元酵素阻害が、同時に筋肉細胞にエネルギーを供給するATPを電子伝達系で産生する一構成成分ユビキノン(CoQ10)の合成も阻害してしまう薬理作用型である、というのが今の一般的な認識だと思います。

従ってスタチン系で見られる重大な副作用のミオパチーやその他の副作用である筋肉痛、筋痙攣、筋脱力などの筋肉関連の副作用は、横紋筋融解症に関連した薬理作用型の副作用だと私はぼんやりと思っていました。

そのような中、がん化学療法における「末梢神経障害」の支持療法症例問題の資料を作成していた中で、ある記事に眼が止まってしまったところからの話になります(恐らく、それなら知っていますと思われる薬剤師さんも大勢おられるかもしれませんが……)。

①神経細胞について

末梢神経障害を理解するには神経細胞を知る必要があります(以下、ガイトン生理学2018年から抜粋)。図表1は神経細胞の基本的なイメージ図ですが、神経細胞は大きくa.細胞体、b.軸索、c.神経終末に区分できます。

[図表1]神経細胞のイメージ図