薬の効果と血液中薬物濃度
一般に薬は血管の中に入り、血液に溶け込んで全身を巡るうちに、目的の部位に到達して効果を発揮します。
例えばある種の血圧を下げる薬であれば、血管細胞のある部分に到達すると血管が広がって血圧を下げます。
図1は縦軸が薬の血液中の濃度、横軸が薬を飲んでからの時間経過を表した図です。
通常、薬を飲むと比較的早く血液中に現れ、ピークを迎えてからは比較的ゆっくりと血液中から消えていきます。
血液中の濃度が薄いときは薬の効果は出てきません(無効域)。図1の無効域と有効域の境目を最小有効濃度と呼び、さらに薬の有効域に入ります。有効な濃度域を超えると、薬は副作用を発生する中毒域に入ってしまいます。有効域と中毒域の境目は最小中毒濃度と呼びます。
さらに血液中の濃度(以下、血中濃度とします)が上昇すると死に至る場合があります。中毒域と致死濃度の境目は最小致死濃度と呼んでいます。私たちが利用する薬は有効域の中に常用量が設定されていますので、血中濃度がピークなっても中毒域には達しないわけです。
以上が原則になるのですが、体の状態によって常用量を使っても中毒域になったり、有効域でも本来期待する薬の効果以外の反応が起こり、それが副作用になる場合もあります。