1) 薬は飲み始めてからいつ頃に効いてくるのか?

痛み止めの薬は、今ある不快な痛みを和らげたいわけですからすぐに効いてくれないと困ります。一方で、飲み始めて何日かたってから安定した効果が出てきてもよい薬には高血圧の薬があります。

図1の血中濃度のグラフを見てください。薬を飲み始めてから血中濃度が最高になるまでの時間を最高血中濃度到達時間(Tmax)と呼び、そのときの血中濃度を最高血中濃度(Cmax)と呼びます。その後、ゆっくりと血液中からなくなっていくのですが、その下がり具合の指標として血中濃度半減期(t1/2)があります。

つまり、元の血中濃度の半分の血中濃度になるまでの時間になります。多くの薬はこの半減期に従って血中からなくなっていきます。

(1)すぐに効いてくる薬の特徴

半減期の短い薬と言ってよいでしょう。ジクロフェナクという痛み止めの薬は半減期が1.2時間と短い薬です。

一般に薬を飲んでから半減期の4~5倍の時間を経過すると元の濃度の6.25~3.1%(0.54~0.55)程度にまで減少しますから、臨床的にほとんど意味がない量になります。

ジクロフェナクは頓用(1回服用)でも痛みが十分止まりますから、1回服用のCmax付近の血中濃度で効果が十分に出る薬になります。しかし6時間もたつと血中濃度が下がり過ぎて効果はなくなります。痛みが継続する場合には血中濃度が下がり過ぎる前に次の分を服用する必要がありますから、関節リウマチや腰痛症など持続する痛みにジクロフェナクを使う場合は、1日3回飲む必要が出てきます。

図2はジクロフェナクを1日3回飲んだ場合の血中濃度の推移を見ていますが、血中濃度が下がり切る前に次の投与が行われていることが分かります。

写真を拡大 [図2]ジクロフェナク血中濃度模式図

半減期の短い薬は1日数回飲まないと効果が持続しないわけです。ジクロフェナクの場合は徐々に薬が放出されるように工夫された製品(ボルタレンSR等)があり、それは1日2回の服用で痛みが取れるのですが、逆に即効性に欠けるため頓用では使いにくい薬になっています。