時の権力者たちが国の行く末を決めるにあたっては、並々ならぬ精神力が必要だったのは、昔も今も変わりません。平安時代の日本では、そんな政治家の決断を陰陽師がサポートしていました。陰陽師はもともと朝廷における役職のひとつで、占いなどを担当する技官でした。

ところが、やがて時の権力者たちに重用され、為政者たちが何かを決断する際に真っ先に相談する精神的な支柱となっていきます。

たとえば、陰陽師と結託した藤原時平がライバルの菅原道真を太宰府へ流刑とするなど、政府の要職の人事などにも大きく関わっていくことになるのです。このような例は、陰陽師以外にも神官や僧などに数多くみられます。これらはある意味直接的な対立を避けるためのガス抜きのような、洗練された仕組みだったのかもしれません。

しかし、私たち一人ひとりが何かを決断する際に、陰陽師に頼るわけにはいきません。自分だけで決めるとなると、

「本当にこれでいいのか?」

「他の選択肢のほうが良いのではないか?」

などと考えて不安になってしまうかもしれません。

そんな時こそ、私たちはもっと自分自身の決断に自信を持つべきだと思います。

私たちが経験や知識をよりどころとして積み上げてきた判断は、それほど悪いものではないはずだからです。それでももし不安が払拭できないのであれば、不安を抑える方法を考えるというのも手です。

人間は脳内物質の一つであるセロトニンがきちんと分泌されていると不安を抑えられます。ですから、不安を感じる時には、なるべく多くのセロトニンを分泌させるようにすればいいのです。セロトニンの分泌を促す方法はいくつかあり、日光を浴びる、深呼吸をして腹式呼吸をする、ウォーキングなどの運動をする、きちんと食事を摂る、といったことが大切。

誰でも、何かを決断したり、新たな何かを始めたり、あるいは逆に止めたりすることには少なからず不安を感じるものです。しかし、できるだけ自分自身の決断や判断を信じ、セロトニンを増やす努力をしながら、毎日を元気に過ごすように心がけましょう。