④コラーゲンの復習

1.コラーゲンとは

③−(1)から歯肉肥厚にコラーゲンが関わっていそうなので、コラーゲンの基礎的な部分をおさらいしてみましょう。

コラーゲンは線維性タンパク質で体の中のタンパク質の実に30%を占め、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨に存在して、細胞外のタンパク質として細胞や組織を支える役割をしています。

2.コラーゲンの構造の特徴

コラーゲンはアミノ酸が約1000個つながったタンパク質が3本寄り集まった3重らせん構造を取っています。分子量は約30万の巨大なタンパク質になります。

特徴的な構成アミノ酸としてヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンが含まれています。またグリシン含有量が30%、プロリンとヒドロキシプロリンの含有量が10~30%(生化学の本により異なる)と特徴的に多く、さらに特徴的な配列として「−X−プロリン−グリシン−」と「−X−ヒドロキシプロリン−グリシン−」の繰り返し構造が多く存在しています(Xは任意のアミノ酸)#2

3.コラーゲンの生合成

コラーゲンは主に線維芽細胞で合成されます。コラーゲン専用のDNAがあり、そこからmRNAが転写されコラーゲン分子が合成されます。ヒドロキシプロリンは通常存在しないアミノ酸なので特殊な水酸化酵素がタンパク質合成後にプロリンに作用して出来上がります。

4.コラーゲンの新陳代謝

体内のタンパク質は古くなり機能しなくなると異常なタンパク質と認識され除去され、新しいタンパク質に置き換わるシステムがあります(たとえばユビキチンプロテアソーム系の分解酵素は、古くなった細胞内タンパク質の80%を除去します)。細胞外タンパク質のコラーゲンも例外ではなく分解されます。ただし、コラーゲンは頑丈なタンパク質なため通常のプロテアーゼでは分解されません。そこで作用するのが、活性中心に金属イオンが配位したマトリックスメタロプロテアーゼ(以下、MMP)になります。この酵素活性に必須の金属イオンが亜鉛(Zn)やカルシウム(Ca)になります。MMPは複数の種類が存在しており、大きく膜結合型と分泌型に分かれます。そして、MMPはコラーゲンの3重らせん構造の特定部位を3本同時に切断できると言われ、その後変性しゼラチン化し、さらに分解されていきます。