添付文書の重大な副作用の肝障害はアレルギー型副作用か
ある研修会で薬物肝障害の副作用を検討していたときの話です。
講師の先生の話では、添付文書に記載された重大な副作用の肝機能障害はほぼアレルギー型副作用であり、その他の副作用にのみ肝機能障害がある場合は薬物毒性型副作用と考えてよいとのことでした。
アレルギー型であれば重篤なので、その他の副作用に記載されることはないだろうというのは予想できますが、重大な副作用の肝機能障害は本当にアレルギー型副作用と考えてよいのかという疑問が残ります。
その疑問を解決すべくPMDAの「重篤副作用疾患別対応マニュアル『薬物性肝障害』平成20年」の内容を参考にして調べたものが、今回の内容になります。
副作用の分類表現が菅野彊氏の機序別分類と若干異なる表現でしたが、ここでは菅野氏流の副作用機序別分類の表現で統一します。対応マニュアルで副作用機序が分かる薬剤は26種類でした。それらを機序別に分け、添付文書上で重大な副作用として記載されている数をまとめると表1のようになりました。
これらから言えることは
(1)アレルギー型の肝障害は、添付文書上、全て重大な副作用として記載されている。
(2)特異体質の肝障害も全て重大な副作用として記載されている。
(3)薬物毒性の肝障害は、添付文書上、1種を除いて重大な副作用として記載されている。
したがって、重大な副作用に肝機能障害が掲載されているからといって、全てが薬物アレルギーによるものだとは断定できないことになります。ただし、その例外は少なさそうです。