俳句・短歌 歌集 四季 2020.08.05 歌集「忘らえなくに」より三首 歌集 忘らえなくに 【第1回】 松下 正樹 四季がある日本は移ろいやすいのだろうか。 行き交う人々の心や街の景色は千変万化で、過去はさらに記憶の彼方へ押しやられてしまっているかのよう。 だが、南の島々には、あの戦争を経ても変わらぬ日本の心が残されていた。 過去と現在、時間の結び目を探しながら、日本古来の清き明き心を見つける旅の歌短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 コスモスの花の海よりぬけいでし ひともとの花君にてありけり 晩秋の風ゆるゆるとやりすごす コスモスは褪せずわが胸に咲く 幸ひは乙女のほほゑみわが前に コーヒーの熱き香りただよふ
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』 【第16回】 利根川 尊徳 女性刑務官の3年以内の離職率は38%。公務員の平均離職率5%程のなか男性刑務官のおよそ3倍! それから三日後、里村から娘が会ってみたいと言っていると連絡があり、行きがかり上須崎が二人の見合いをセッティングする事になった。須崎はパソコンで都内のお見合いスポットを検索し、結婚式場を併設し、御自慢の庭園を有する文京区の〇山壮ホテルを見合いの席に選んだ。須崎は見合いのプランを打ち合わせる為、幸村を呼び出した。予めホテルから貰っておいたパンフレットを見せながら「君さえよければ、このホテルの企画、レ…