歴史に名を残す
親子で戦争の話をしたせいだろうか、あるいは墓参りもきっかけになったのだろうか、息子が突然「死」について考え始めたようだった。
子「僕もいつかは死ぬよね」
父「どうした」
子「死んだら、僕がいたことなんか、僕の子どもくらいしか覚えてないよね。そんなの寂しいから、なるべく歴史に名を残したいってみんな思わないのかな?」
父「お父さんに似てないんだね(苦笑)。お父さんは有名人になんてなりたくないけど」
子「なんで?」
父「有名税ってやつ。あれを買っていたとか、これを食べていたとか、常に監視されている状態だもん」
子「別にいいじゃん」
父「人前だと喋れなくなるくせによく言うよね。まぁそれはおいといて、歴史に名を残すのは、どんどん難しくなるよ」
子「分かってる。ほとんどのものが発明されちゃってるからでしょ」
父「発明もそうだし、スポーツの世界記録とか、ノーベル賞とか」
子「じゃあ、どうする?」
父「有名になることを目標にするのは間違っているよね。何かを一生懸命やった結果、みんなの役に立って、歴史に名を残すならいいけど」
子「一生懸命やった結果、役に立たなかったら?」
父「結果が出なくても、ちゃんと働いてさえいれば社会に貢献しているんだから。名も無きヒーローがたくさんいるから、日本は豊かなんだよ」
子「そんな地味なヒーローは見たことないな。お父さんもヒーローなの?」
父「うーん、違うな……」
お父さんのひとりごと
息子には、華やかな仕事ではなくても、納税したり、子をもうけたり、みんなが何かしら社会に貢献しているのだということ、色々な職業人がそれぞれの持ち場で頑張ることの尊さを知ってほしいです。
皆さんの周りにいる「名も無きヒーロー」について語らってみてはいかがでしょうか。