気晴らしが必要だ
この原稿を書いている2021年、日本はもちろん世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。
それにともなって人口の多い都市部には緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出の自粛が要請されるという、未だかつて私たち日本人が経験したことのない事態が続いています。さらに、新型コロナウイルスの蔓延を防ぐための特別措置法が制定され、休業や営業自粛に従わなかったり、入院勧告に従わなかったりした場合には罰則が与えられることになりました。
新型コロナウイルスは、特に高齢者が感染すると重篤化する傾向が強いため、私の近所に暮らす高齢者たちも皆さんとても気を付けています。
町内会で出会った人に話を聞くと、皆さん必要最小限の外出にとどめ、ほとんど家に閉じこもっている状態なのだとか。そのため、ウイルス感染のリスクは抑えることができたとしても「頭がぼんやりしていて認知症が進行しているのではないか」とか「酒を飲み過ぎてアルコール中毒になってしまうのではないか」などの不安があると言います。
認知症やアルコール中毒とまではいかなくとも、イライラして悪酔いしたり、突然大声でわめいたり、怒鳴ったりとまるで人格が変わってしまったかのような人も少なくないそうです。
特に高齢者は感染を避けるためには閉じこもることも仕方なく、かなりのストレスがかかるのは避けられません。このようなストレスは、身体にダメージを与えて心臓病などを引き起こしたり、心にもダメージを与えてうつ病や摂食障害などを引き起こしたりすることがあります。
このようなストレスをどうやって解消するかというのは、現在の日本にとってとても大きな問題だと感じています。そして、社会的な対応も必要かもしれませんが、自分自身のセルフ・コントロールの対応が一番大切なんだと考えています。
人間は顔が違うように人生観も違うのだから、それぞれの生き方や落としどころを考えていかなければいけないでしょう。コロナは人生を全うするための、一つの試練なのかもしれないと思わざるを得ません。
たとえば、禅の瞑想も有力な療法のひとつであるといえるでしょう。とにかく、ストレスに見合うぶんスカッとする気晴らしをすることが大切。私自身も含めて、ストレスを解消する方法を模索したいと思います。