その動きに対して、2018年5月に文科省は更なる定員管理政策を打ち出した。大学には募集定員と収容定員という定員概念がある。前者は募集要項に記載されている募集人数の合計であり、後者は入試で合格した者の中で手続きを経て最終的に入学した新入生の許容人数である。
これまで文科省は収容定員を募集定員の定数倍まで許容する方針のもと、それを守らない大学に対して補助金の給付を行わないペナルティを科す政策を貫いてきた。
この改正の目玉は、首都圏を中心とする大都市に立地する大学の大規模学部(募集定員300人以上)に対して、募集定員と収容定員を一致させることと、1人でも募集定員を上回る人数を入学させた大学にペナルティを科すというものである。
この政策変更の裏には、地域経済活性化の一環で地方在住の若者の流出を食い止める意図があった。ところが、これを知った有力私学を中心に合格者の絞り込みが行われた。それと同時に、絞り込みの読みが外れた大学において追加合格が乱発され、高校および受験生たちが大混乱する状況を招いてしまった。
結局、文科省はこのペナルティの導入を当面見送らざるを得なくなった。こうした文科省による高等教育政策の変化が、大学および高校の教育現場、ひいては学生・生徒に要らぬ不安と混乱をもたらしたと言っても過言ではない。