4)β遮断薬について

自分でもうやむやにしていた部分の学習会をしていると、その部分を鋭く質問されるときがあります。ある病院の薬剤師さんたちとの学習会で出た質問で、β遮断薬のISA(Intrinsic Sympathomimetic Activity)は臨床的にどのような有用性があるのか? またβ1受容体非選択性の有用性をどのように評価すればよいのか?という質問がありました。

①そもそもβ受容体とは

脳内と交感神経の終末から放出されるノルアドレナリンや副腎髄質から放出されるアドレナリンを受け止める受容体で、その受容体が存在する臓器によりさまざまな作用が発現されてきます。

副腎髄質からはノルアドレナリンも少し分泌されます(アドレナリンの1/4量)。

β受容体にはβ1、β2、β3の3種類があります。また受容体にはα受容体もありますが、ほぼ真逆の作用を示します。ただ臓器によって存在する比率が違うので、どちらかの作用が優勢になります。さらに刺激物質による受容体への選択性もあり臓器への作用は複雑になります。

両者の受容体選択性は次のようになります(β3は不詳)。

  ノルアドレナリン:α1=α2≒β1≫β2

  アドレナリン:α1=α2、β1=β2(低用量でα1<β1、高用量でα1>β1

今回はβ遮断薬の話ですので、まずβ受容体の働きについて私なりに表1にまとめてみました。

各β受容体への刺激作用の特徴を以下に示します。

1.心臓でのβ1受容体刺激作用と想定される悪影響

収縮力・心拍数増加による高血圧、心収縮力増加などにより心臓への負荷が高まり酸素供給量が追い付かなくなって起こる狭心症発作、さらに刺激伝導速度増加による頻脈性不整脈の発症。

写真を拡大[表1]β受容体別刺激作用 ※は関与が少ない。 出典元:参考資料1、2、3