2.血糖値への影響

❶ジアゾキシド

膵臓β細胞のKATPチャネルの開口作用により過分極(細胞内の過度なマイナス化)を起こし、その後のCaイオンの細胞内流入を抑制。その結果、インスリン分泌を抑制して血糖値を上げます。

❷サイアザイド系

一般にループ系も含めてインスリン分泌低下作用による血糖値上昇とされています(昭和学士会誌第75巻第4号p426 2015年)。構造がジアゾキシドに酷似しているので同様の機序が推察されます。

❸スルホニルウレア系

ジアゾキシドと全く逆の作用でβ細胞のKATPチャネルの閉口作用により脱分極(細胞内のプラス化)を起こし、それによりCaイオンを細胞内に流入させてインスリン分泌を促進して血糖値を下げます。スルホニルウレア系は血糖降下作用のみに特化された印象がありますが、これは他の薬より全体的に広がった構造をしているのが薬理活性を特定化しているのかもしれません。

3.血圧への影響

❶ジアゾキシド

海外では当初、注射薬として緊急高血圧症に利用されていました。細動脈の拡張作用とされていますが、血管平滑筋のKチャネルの開口作用による過分極が、その後のCaイオン流入を抑制して血管拡張に作用するとされます。反跳的に動悸・頻脈が見られます。

❷サイアザイド系

利尿作用の寄与ではなく、弱い血管拡張作用により降圧効果を示すとされています。機序はジアゾキシドと同様Kチャネルの開口作用による脱分極の可能性が指摘されています。

4.尿酸値への影響

❶ジアゾキシド

機序については不明ですが、血清尿酸値の上昇が知られています。

❷サイアザイド系

Na利尿効果による血中Na減少が、かえってレニン-アンジオテンシン系を賦活させて尿細管でのNaの再吸収を促します。その際、Naは尿中の有機酸(ニコチン酸、乳酸等)と共輸送されます。尿細管の細胞内にたまった有機酸は、尿細管側に発現する尿酸トランスポーターによって再び尿に戻ると同時に尿中から尿酸が再吸収され、高尿酸血症を形成します(a)。

また、サイアザイド系と尿酸は尿細管分泌時に競合するため血中尿酸値を上げる説もあります(b)。ちなみにジアゾキシドは血中Na値を上げる方向に作用しますので、(a)の機序は当てはまりません。ジアゾキシドはサイアザイド系と同じスルホンアミド化合物なので、ジアゾキシドの血中尿酸値上昇作用は(b)の機序が関係しているのかもしれません。

5.浮腫への影響

❶ジアゾキシド

Na、水分の貯留が副作用として報告され、抗利尿作用があるとされています。機序は不明ですが、構造上、サイアザイド系に似ているがために遠位尿細管のNaCl輸送体を逆に活性化して、Na再吸収を促進して最終的に水分再吸収を増加させるのかもしれません。

❷サイアザイド系

降圧利尿薬とされているぐらいですから利尿効果ありです。遠位尿細管NaCl輸送体を阻害してNa再吸収を阻害し、それが最終的に水分の再吸収を阻害して利尿効果につながります。ただし、遠位尿細管より上流にあるヘンレ係蹄部分でのNa-K-Cl輸送体の再吸収が強力なため、サイアザイド系の利尿効果は弱いとされています。

⑥まとめ

薬の構造が似ているからこそ、同じ作用をしたり、その作用が強かったり弱かったり、まるで効果を示さなかったり、逆の効果を示すことさえあります。漢方薬で利用される植物には似たような構造をした成分が多く含まれ、作用の度合いが異なります。それらが総合的に体に作用するので、漢方薬は体に優しく作用するともいわれています。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。