極楽駅前
私「青ちゃん、なんだか空も晴れて良い匂いがしてきましたね」
青鬼「なんだ? お前? 青ちゃんだ? 馬鹿に馴れ馴れしくなったなぁ!」
私「だって、いちいち『青鬼さん』と言うより簡単だから。でもやっぱり『青鬼ちゃん』と呼ぼうかな!」
青鬼「いや、お! そんなに硬く言ったつもりじゃないんだ。実は俺も……、『青鬼』より『青ちゃん』の方が気に入っている。鬼ってのは、人間達にどうも印象が良くないだろう」
私「私も、『青ちゃん』の方が親しみやすいんだ。うん? それより、さっきから何か良い香りがしてきましたね」
青鬼「ほぉー。お前、なかなか鼻が良いな! そういやお前、たしか食品メーカー勤務だったな?」
私「そうです! よく知ってますね! 商品開発には鼻が大事なんです。そのせいか、だんだん、匂いに敏感になりました」
青鬼「それじゃぁお前な、今するこの香り、何だか当ててみろ!」
私は一生懸命、鼻をクンクンとさせ、何の匂いか探ろうとしました。
この香り、大分以前、たしかにどこかで嗅いだ気がします。しかし、それが何だか、なかなか思い出せません。