五月の山

五月の山は

まぶしいばかりの光の中

激しき風にゆれている

それはきらめく

黄緑の世界

そして若き生命の

せめぎ合う世界

されど山頂から望めば

五月の山は

黄緑と深緑の

交互に織りなす

魔法の世界

移り行く時が我に知らせる

不思議な世界

五月の山を

降りゆきて

輝くばかりの若葉つみ

唇にあてればほろ苦く

君のうなじを思い出す

移り行く時が

この苦しみを流すかと

すがしき風が

ほの浮かぶ唇を

吹きとばすかと

願いつつ──