俳句・短歌 短歌 故郷 2022.01.20 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第89回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 曇り空納涼風が吹き込んで 肌に涼しく気持ち良い哉 久方の雨も降るだけ降ればまた もうそこそこに気をも済む哉 逃避して動く前線焦じれったい 如何するつもり梅雨入りなのに
エッセイ 『ねぇねぇみかどのおばさん』 【第3回】 六谷 陽子 不良とつるみ始めた近所の男の子…。駄菓子屋のおかみが決行したのは「えこひいき」作戦!? 一 みかどを閉店します富山の片田舎から下町に嫁いだ頃は、母も人間関係で苦労したようです。当時は、各家庭には水道は通っておらず、共同水道を十世帯くらいで使っていたのです。そこに行けば、他の誰かが必ずいます。特に水を使う時間帯は同じだから、会わずにすませる、というわけにはいかなかったようです。年配のおばさんたちは、個性的で嫌味を言う人もいれば、優しい人もいます。年配らの会話を笑いに変えて楽しむ若妻も…
小説 『ジュピターと仲間達 Jupiter & Friends』 【第6回】 ジェフリー 樫田 森の中をしばらく歩いていくと、間違いなく複数の何者かがずうっと後をつけているようで… 「西方の雪深い山脈にたどりつくには数多くの森と谷や渓谷を越えねばならない。途中には恐ろしい魔物や獣が出没するという国も多い。山脈を越えきるには何か月もかかるらしい。そんな危険いっぱいの国々を無事に旅することができるのだろうか…。明日はトムのために、彼の家族の墓を作ってやらないといけない」ユージンはずっとそんなことを考えていた。「とにかく旅のことは後でゆっくりと考えよう…」そう思いながらユージンも…