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事例4 怪文書出回る! 「仲間割れ」のゲーム

起こった事実

今回は、先輩から私が直接聞いた話をご紹介したいと思います。

仮に、その先輩の名前を西田和夫さんとさせてください。西田さんも、私と同様に化学プラントの設計の仕事に従事していました。

プラント設計というのは、基本設計と詳細設計に分かれます。基本設計というのは、プラントの基本的な設計を行い、主要な設備の内容や、工期、予算を決めるものです。この基本設計の結果をもとに、会社がその案件を実施するか否かの稟議(りんぎ)を行い、実施が決まれば詳細設計に移行します。

詳細設計というのは、基本設計を基に、より詳細に設備の仕様を決めて、メーカーに機器を発注し、工事までを実施するものです。

当時、私のいた本社では、基本設計と詳細設計のグループが分かれており、私や先輩の西田さんは基本設計のグループに所属していました。このような組織構成のため、必然的に詳細設計グループは、基本設計グループの決めた工期や予算で仕事を進めることになります。いわば、他人が決めた工期や予算に従って仕事をするわけですから、どうしても詳細設計グループは基本設計グループと反目することが多かったのです。

さて、私の先輩の西田さんは、あるプロジェクトの基本設計を担当したのですが、大きな仕事だったため、詳細設計に移行しても、プロジェクトマネージャーとして詳細設計チームを含む設計チーム全体を統括することになったのです。