俳句・短歌 句集 2021.11.24 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第38回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 向日葵や地は石塊をもて画す 山畑に何焚く煙九月尽 全開の蛇口両手の貝割菜
エッセイ 『振り子の指す方へ[人気連載ピックアップ]』 【第17回】 山口 ゆり子 妻の姉をソファーに連れて行き、そこにそっと横たえた。彼女は泣き続けながらも、それに抵抗することはなかった 【前回記事を読む】気が付けば、妻の姉に抱き着き声をあげて泣いていた。…妻が流産し幼児退行して2年。こみあげてくるものを耐えられなかったんだ静かに抱きしめ返してくる亜希子の背中をさすりながら、春彦は郁子とよく似た亜希子の温かさが二年の間にうらぶれた心をほぐしていくのを感じていた。あの日、同じように郁子を抱きしめられていたのなら、という思いと、もはや悲しみを共にする同士である亜希子が、どうしても春彦…
小説 『ツワブキの咲く場所』 【最終回】 雨宮 福一 何の薬だったんだろう…白い紙袋の表を、決して見せないように拾い上げた馴染みの友人。不安な気持ちを残したまま別れ… 【前回の記事を読む】「ぼろぼろのその靴がお前の人となり、だなんて俺には到底思えない」彼の手のぬくもりは、言葉よりも遥かに雄弁だった。永ちゃんの手がそっと離れる。「そんな……」思わず目を伏せると、白い紙袋が車の床に落ちていることに気付く。薬が処方されるときによく使われる、薬の名前や飲み方を記した小型の紙袋である。薬が中に入ってるのか、少し膨らんでいる。「あっ! ごっ、ごめん。永ちゃん、うっかり踏ん…