俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.12.09 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第9回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 最後かも車椅子に母移し めざす艶あでやか薄紅桜 見上げれば花びら乱舞たまゆらの 春風染めるももいろの空 うたかたの桜吹雪に包まれて 親子でまとう薄紅ごろも
小説 『13.Feb チョコレーション』 【第5回】 齊藤 俊彦 トイレから出てきた彼に続いて出てきた彼女。私は二人が目配せしたほんの一瞬を見逃さなかった。彼にしてはトイレが長かったような… 【前回の記事を読む】大きな瞳と艶やかな長い黒髪にやや豊満なボディ。自分にはないものを明らかに感じてしまい…智子はピザを注視した。チーズとメニューにあるがナチュラルチーズでないのは明らかで、原材料は乳製品ではないと思った。智子はソーセージを口にしたが、子供の時に食べていたものとは味や食感が違うと気づいた。粗挽きとメニューにあるのに肉質は均一で獣脂感は全くない。本物の豚肉ではないのだろう。みんなは着…
小説 『29歳、右折の週』 【第16回】 言田 みさこ 30歳の男が18歳の少女へ宛てた手紙。8枚にもおよぶその手紙には彼女への下心が見え透いており、さらに文末には… 【前回の記事を読む】彼に耳元で「好きだよ」とささやかれた。帰ろうとする彼をなんとか引きとめようと甘え声で話しかけ…「さあ、右足を後ろに引いて」「右足? 右足ってどっち?」首を下へ折り曲げ、両手で越前の体に捕まる少女の焦った姿を、皆がくすくす笑った。桜色のブラウスを着た少女はかわいらしかった。邪気がなく、ごまかすことを知らず、困った顔を隠す術(すべ)も知らなかった。頬をブラウスよりも濃く染め、必死…