俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.12.09 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第9回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 最後かも車椅子に母移し めざす艶あでやか薄紅桜 見上げれば花びら乱舞たまゆらの 春風染めるももいろの空 うたかたの桜吹雪に包まれて 親子でまとう薄紅ごろも
エッセイ 『ある朝、突然手足が動かなくなった ギランバレー症候群闘病記[注目連載ピックアップ]』 【最終回】 市川 友子 殺し屋の看護師たちが私にのしかかっていた。とうとう腰の骨を折られて殺されると覚悟した。 幻覚と現実の交差注射器で毒を打たれそうになり、私は打たれまいと速い呼吸を繰り返していた。「落ち着いて、深呼吸して、ゆっくりと」看護師さんの顔が目の前に見えた。点滴の針を取り替えているところだ。それなのに殺人鬼扱いされたのでは、看護師さんもたまったものではない。私はラジオ局に助けを求めた。病院に監禁されている私と家族を助け出してくれと訴えた。しばらくすると大勢の人が病院を取り囲み、何人かが病院に侵…
小説 『北満のシリウス』 【第17回】 鎌田 一正 「待ってくれ…あんたひょっとして『北満のシリウス』か? 百回近い決闘でも、一度も負けたことがないっていう…」 【前回の記事を読む】「悪いか? 相手は中国人だぞ! 日本人の言うことを聞かない中国人を殴って何が悪い」...少年は右手拳を振り上げて、雪舟に殴りかかった。「何……? セッシュウ……?」雪舟は、少年のところまで、すたすたと歩いて来た。そして少年の後ろ襟をつかんで、無理矢理立たせ、そのまま、御者のところまで引き連れて行った。「謝れ」少年は、御者の顔をきまり悪そうに上目遣いに見ながら、ペコリと頭を下げ…