俳句・短歌 介護 母娘 短歌 2021.12.09 「最後まで人」より3首 最後まで人 介護ひとり百十一首 【第9回】 詠み人しらず 登り坂もしもし亀に抜かれても 二人三脚行けるとこまで 母との日々を五・七・五・七・七の音に乗せて綴った、切なくも心温まる短歌集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 最後かも車椅子に母移し めざす艶あでやか薄紅桜 見上げれば花びら乱舞たまゆらの 春風染めるももいろの空 うたかたの桜吹雪に包まれて 親子でまとう薄紅ごろも
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『奥会津の人魚姫』 【第18回】 西田 理酉 死んだ娘に掛かっていた6000万円の保険金…。双子の片割れにはアリバイがあった。 「確かに一応関係者の足取りを確認するのが、我々の仕事なのですが、乙音さんと千景さんはその日、会津若松市の複数店舗で買い物をしており、レシートの時刻が正午頃の物もありました。つまり、汐里さんが亡くなった時刻に、お二人がめぶき屋にいなかったのは間違いがありません。これはお店の防犯カメラの映像からも、確認済みです」「でもそこまで調べてるってことは、やっぱり警察も乙音を疑ってたってことだ」「いいえ、これ…