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家族病
① 飲めるための支え手
昭和五十五年秋、「急性膵炎」で一回目の入院をしました。その三年程前、膵臓近くの部位に結石があり治療を続けていました。
アルコール乱用もあり、負担がかかったのでしょうか。昭和六十年春には、何回目かの急性膵炎の発作がありました。
この頃には、職場では「酒は飲んでいない」と彼は言うようになっていましたが、家では益々深酒となり連続飲酒の傾向がドンドン進行していました。その後も何回も急性膵炎→亜急性膵炎→慢性膵炎→糖尿病→慢性膵炎急性憎悪等の病名で、入退院を繰り返していきました。
退院してすぐその日から飲酒します。否、入院中も抜け出して飲酒するという考えられないことの繰り返しです。
次男も子供ながらおかしいと思うのでしょう。「父さんはお酒を飲んで具合悪くなったんでしょ。何で、帰ってくるとすぐお酒を飲むの?」と聞くのです。
「飲酒していること」を決して外に言わない妻の私は、「彼が飲めるための支え手」として関与していったのです。その後もいくつもの出来事が続きます。
② 薄い羽織
昭和六十年二月のことです。一年中で一番寒い時期、その日は特に風の強いとても寒い夜でした。彼にドアチェーンをかけられて、私は何十回も外に出されていたのですが、この時ほど寒さが身に染みて辛かったことはなかったように思います。