ある程度慣れてきたら、段階を経て足を運ぶ場所も段々と遠距離になっていきましたし、英国の空の玄関口、ヒースロー空港やガトウィック空港も教材としてブラブラ歩き回り、空港の設備や案内表を見たり発着アナウンスをリスニングしまくっていました。

勿論、勉強ばかりではガス欠になってしまうので、その当時引退間際だったコンコルドの撮影も盛り込んでいました。むしろ留学先に英国を選んだ決め手は、趣味の鉄道が最大限活かせる場所であったからだったりします。

さらには、語学学校の秋休みを使ってスコットランドに1週間サバイバル旅行に出て実践訓練も積み重ねていました。エジンバラのユースホステルを拠点としてグラスゴーやアバディーン、ネス湖などにも行って自分が学んだ英語が使えるかどうか、楽しみながら試してもいましたね。

街歩きには会話も必要になります。食事や切符の購入などコミュニケーションを取る機会が多くありました。特に私は保存鉄道に乗りに行くことも多く、現地の鉄道ファンの方ともよく話をしていました。英国にも熱心な鉄道ファンは多く、日本の鉄道ファンということで現地での交流は多かった方だと振り返っています。

修士課程に進学する前のおよそ1年間、私は修士での学習の準備と必要な科目の埋め合わせのためにロンドン大学ロイヤルホロウェイ校のディプロマに通っていました。就労体験(インターンシップ)が授業の必修科目に入っていたのでオックスフォード近郊のDidcot Railway Centreに下半期から週1回出向いて、蒸気機関車の修理や線路の保線を行っていました。

こういった学習は、修士での勉強にもつながりました。進学した修士課程では所属するコースの中で唯一の日本人かつアジア人だったので、何でもゼロからやらないといけない環境でした。そこで、街歩きなどを通して身につけた語学力と関西人特有の糞度胸が活きたのです。

授業の2回目からプレゼンテーションがありましたが、その初回を自分が担当し、話す内容についても先生とすり合わせを行うなど、勢いをつけたことで修士課程での1年間は概ねスムーズだったと感じています(修士論文の研究計画書が不合格になり、再提出を課されたことはありましたが……)。

このように、街歩きには身近な教材がゴロゴロ転がっています。語学に五感で触れるには、実は隠れた穴場であり最適な環境でもあるわけです。さらに、大きなメリットは授業料が必要ないことにあります。

出歩く分のお金は必要になりますが、それでも活用次第では大きく語学力を伸ばす貴重な機会として使えるまたとないチャンスです。教科書やテキストを使って学習することだけが学習ではありません。ブラブラ歩いて楽しいものを見て美味しいものを食べながら学ぶことも取り入れていきましょう。