イマージョン教育に隠されたヒントとは?
メジャーリーグのエンゼルスとマリナーズで投手として活躍した長谷川滋利さんは、学習のモチベーションについて、有益なアドバイスを送っています。長谷川さんはメジャーでプレーすることを具体的な目標に掲げ、渡米してエンゼルスに入団する前のオリックス時代から本格的な英語学習を進めていたそうです。
これは確かに学習面では強力なモチベーションですよね。しかし、ここに落とし穴があります。語学の学習は年単位でマスターしていくもので、いわば、学習はマラソンのようなものです。だからこそ、学習を続けていくために、どこかでガス抜きやお遊びも入れていく必要があります。車やバイクのエンジンもずっとトップギアでふかし続けていたら、エンストになってしまいますよね。
長谷川さんも英語の基礎を学んだあとは、遊び感覚での学習も盛り込んでいたと振り返っています。実際、どこかで遊びの要素を入れるなどして楽しんで覚えないと学習の効果は得られないですし、長続きしないものです。また、メジャーリーグで現役を引退したイチローさんのことについても触れています。イチローさんは何事にも完璧を求める人であったそうで、日常のトレーニングや練習で人知れず相当な努力を積み重ねていました。
英語についてもそうだったようですが、おそらく学習を継続できた一つの要因として、家庭教師やテキスト主体の学習よりもむしろ、マリナーズのチームメイトとジョークを含めた普段のコミュニケーションを楽しみながら学んでいたことがベースになっているのではないかと考えられます。
私もホームステイ先で、ホストファミリーの子どもたちにいじられながら遊んで発音を磨いていきました。また、これは結構使える方法なので機会があればチャレンジしてほしいのですが、覚えた言葉のシャドーイングや自分の発音矯正がうまくいってるかどうかをホームステイ先で犬に試していました。
ステイ先の家庭で飼っていた犬は黒い大型犬で名前はウィリーといいますが、ウィリーにはめちゃくちゃ鍛えられました。実際、留学して半年くらいまでは自分がウィリーに指示を出しても動かなかったのです。つまり、ウィリーが動かなかったら発音が悪いということで初めはきつかったのですが、発音が良くなるとともにドッグフードを英語で何とか与えられるレベルになりました。特に「お手 (pull) 」は一番苦労した指示で、8か月ほどかかりましたね。
他にも語学学校では授業の一環として「Taboo(タブー)」というカードゲームを使ってスピーキングの練習を重ねていました。
Taboo はある単語を当てるために問題を出す人が、色々なヒントを会話やジェスチャーを通して出していくゲームで、使ってはいけない単語が答えの下に5つ書いてあり、これらを使ったらアウトになるという単語力も会話力も鍛えられるものでした。学校の授業でも活用できるゲームなのでこういった遊びを通じて楽しむことも基礎力の底上げには有効ですし、学習のブレイクにはもってこいなのです。
「継続は力なり」。日本でよく使われることわざですが、語学はまさにこれに当たります。続けていくための工夫を随所に盛り込んでいくことで、学習が長続きしていきます。好きこそものの上手なれ。英語を使って遊ぶことも大事ですよ!