イマージョン教育に隠されたヒントとは?

さイマージョン教育は大きく分けて2種類に分けられます。1つはフルイマージョンで、インターナショナルスクールのように1日の生活を全部英語で過ごす形です。もう一方はパーシャル(部分)イマージョンと呼ばれ、部分的に英語で学習を進める傍ら、国語など一部の教科は日本語などの母語で学習します。割合としては英語と母語が概ね1:1になっている学校が多いです。

日本の学校教育法で定められた学校(学校教育法の第1条は学校種の定義を示していることから、一条校とも言います)で行われているイマージョン教育は、全てパーシャルイマージョンを使っています。この他、パーシャルイマージョンの変化形として米国で広まったデュアル(双方向)イマージョンもあり、英語とスペイン語など、ヒスパニック系の子どもたちを参加させて互いの言語を学び合う取り組みもなされているそうです。

どちらのイマージョン教育にも共通点があり、その最大のメリットは学ぶ言語に触れる量と質の確保が同時に図れるところにあります。ただ、デメリットとして、やり過ぎると母国語能力が却って低下することもあるとの指摘がありますが、それ以上のメリットとして、言語習得が早期から見込めるとあって世界での需要は高いのです。

ヒントはこのメリットの部分にあります。イマージョン教育の根幹は「英語を学ぶ」のではなく、教科や生活単元学習を「英語で学ぶ」ことにあります。読者の中には現役の学生さんもおられるかと思いますが、ここでみなさん、学校での授業を思い出してください。普段の授業は、先生の発問や内容を聞く、質問に答えたり発表したりする、問題を読んだり音読したりする、板書の視写やノート、ワークシートなどを書くでしたよね?

つまり、授業は聞く・話す・読む・書くの融合体なのです。あまり意識していないかもしれませんが、五感を使って授業を受けていたことになります。故にイマージョン教育を受けている子どもたちは、五感を使っていろいろな事柄を英語で学び、そして触れているのです。

では英語に触れる方法ですが、身近にたくさんあります。英語で音楽を聴くことやカラオケで英語の歌を歌うことも立派に英語に触れています。ネイティブの人と会話をすることは勿論、読み聞かせも効果的です。元JR東日本の車掌で英語車掌として知られている関大地さんは、子どもに英語の童話の読み聞かせをしていると著書で述べています。実務的な話を含めると、英語の本や雑誌などを読むことや英文でメールを送ったり履歴書を書いたりすることも選択肢の一つです。

ただ、語学に触れるとは言いましたが、聞く・話す・読む・書くのどれか一つや二つに偏りすぎるのはよくないです。効果的に語学を習得するためにはバランスも必要になってきます。

スポーツでも筋肉の鍛え方にはやはりバランスが大事です。偏った鍛え方をしてもいいパフォーマンスは得られないのと同じですよね。語学もスポーツと鍛え方の考えは同じです。英語についても幅広く五感を使って触れていきましょう。