俳句・短歌 句集 2021.11.10 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第36回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 新築の足場解かれるる暮春かな 余すなく畦刈り込んで田水張る 縁側に人数分の蛍籠
エッセイ 『振り子の指す方へ[人気連載ピックアップ]』 【第17回】 山口 ゆり子 妻の姉をソファーに連れて行き、そこにそっと横たえた。彼女は泣き続けながらも、それに抵抗することはなかった 【前回記事を読む】気が付けば、妻の姉に抱き着き声をあげて泣いていた。…妻が流産し幼児退行して2年。こみあげてくるものを耐えられなかったんだ静かに抱きしめ返してくる亜希子の背中をさすりながら、春彦は郁子とよく似た亜希子の温かさが二年の間にうらぶれた心をほぐしていくのを感じていた。あの日、同じように郁子を抱きしめられていたのなら、という思いと、もはや悲しみを共にする同士である亜希子が、どうしても春彦…
小説 『ハロー、わたし!』 【第8回】 澤 幸希 「実は、どうも雪女の話によく似た出来事があったらしいんだ、お前の父方の家系にも」――小泉八雲の雪女の話をしていると… 【前回の記事を読む】小泉八雲が創り出した「雪女」のイメージは妖怪は妖怪でも美しい黒髪の女の人って感じで…「女はしばらくじっと巳之吉を見つめていたが、やがて微笑みを浮かべて言ったんだ。『お前はとても若い、それになんて美少年なの。殺してしまうのは可哀そう。生かしておいてあげよう。その代わり、今夜見たことを誰にも話してはいけないよ。たとえおっかさんでも。もし話したら、その時は命を貰うからね』。巳之吉は…