英語は難しくない! 元車掌が教える英会話学習法(レクチャー編)

語学は赤ちゃんに学べ! ネイティブの語学脳を考察する

一番身近な親という手本から赤ちゃんは言葉を学んでいます。これは一般的に知られている赤ちゃんの言語習得モデルです。ところがKuhlの研究では、赤ちゃんは実は、聞いた言葉の音を統計的に処理して学習すると述べています。

具体的に説明すると、赤ちゃんは生後、言葉を話すために親や周りの人などから音声データをいっぱい取り込む必要があります。そのために言葉を聞き取って音声に関するデータを脳に貯め込んでいるわけです。そして、貯め込んだデータから音声を聞き分けるために必要な音を探っているのです。

このプロセスは生後約8か月頃まで続くので、日本人の赤ちゃんもlとrの聞き分けは実はできるのです。しかし、生後9か月頃から赤ちゃんは必要のない音声を区別するのをやめていきます。その区別するのをやめる音声が日本語のlとrの音の違いです。

この違いは、英語のlとrの音の違いよりも差が小さいので、赤ちゃんは「そんなに大事やないさかい、区別しなくてもええっかあ。」となり聞き分ける必要がないと判断します。故に、聞き分けの必要がない音は区別しなくなるので、8か月頃まで聞き取れていた英語のlとrの違いが日本人で聞き分けられなくなるのはこのためなのです。

逆に、英語のlとrの違いになると、赤ちゃんは「アカン。lとrの音は似てるけど大事やから区別せな。」と判断します。これによって、英語については聞き分けがより敏感になっていきます。

まとめると、日本人のネイティブは概ね生後9か月くらいから不必要な音を聞き分けなくなっていきます。これは赤ちゃんが言葉を学ぶ聞き分けの過程で日本語と英語の音声構造や音の領域の違いから出てくる現象で、これが日本人がリスニングに手こずる原因の根っこです。