俳句・短歌 短歌 故郷 2021.09.02 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第69回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 早食いの辛苦の糧を喰らう哉 実らぬ恋の虚ろ三昧 淡き哉初夏に奏でる初恋の 心の調べ甘く聞こえる 僕に取り生きてる事が働きで 働く事が暮らす事也
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『ラガーマン ジャッカル翔』 【第15回】 上山 照 銃撃事件の犯人はアラブ系らしい…。そう告げると二人は驚愕した表情になった ヨシムが「私達のテーブル脇で血に覆われて倒れていた男は亡くなりましたか?」と尋ねた。クリストファーが「いいえ、出血が多いように見えたかも知れませんが耳だったのでそれ程酷くなく、ボディガードの方が搬送された同じ病院で入院しています」ヨシムが「重傷者は多いのですか?」と聞くと「重傷の方はお仲間の方とジャイルズのメンバー二人に、会場から逃げる時に倒れて大怪我をした方が八名程います」ヨシムが「犯人の目途…