ことでんでの英会話実践例

ことでんでは様々な状況で、外国語、とくに英語を使ってお客様に対応する機会がありました。

入社後の研修の後半になると、系統教習に入り実際に営業している列車で乗務訓練を行いながら車掌として現場での対応力を身につけていくことになります。

私の場合、系統教習の開始初日から、いきなり英語での対応が必要となる場面がありました。ここでは車掌として乗務中にあった実例をいくつか紹介していきます。

企画乗車券で乗り越しのお客様

ことでんはユニークな企画乗車券を色々と発売しています。その中でも人気があるのが、ことでんおんせん乗車入浴券です。

これはうちわがそのまま切符として利用できる変わり種の乗車券で、温泉のある仏生山(ぶっしょうざん)から330円区間(高松築港〜仏生山間の運賃と同額)が1日乗り放題になるうちわ形の乗車券と温泉の入浴券、タオルがセットになって1200円の便利でお得な切符です。

仏生山はことでんの車庫や工場を併設している駅で、運転上の拠点の一つでもあり、地元の方だけでなく国内外問わず湯治客の利用がかなりあります。実はこの切符の処理で系統教習初日から英語での応対が必要となったのです。

系統教習初日は志度線の担当で、琴電屋島に着いて切符の集札を行っているときに教習係の先輩から「前の車両に行って。」と指示があったので行ってみると、韓国からのお客様の乗り越し処理が必要でした。

ことでんおんせん乗車入浴券は、志度線に乗る場合有効区間は乗り換え駅の瓦町から2つ先の松島2丁目までなのですが、そこから乗り越すと乗り越し分の運賃が別途発生します。その乗り越し分の追加運賃190円が必要ですという説明を英語で行い、無事に対応することができました。

ことでんの沿線には、こんぴらさん(金刀比羅宮)や栗林公園、屋島、四国八十八か所霊場巡りのお寺が点在するなど、香川県を代表する観光地が多くあり、ことでんでも外国人観光客の利用がアジアを中心に増えてきています。教習初日の経験により、地方私鉄でも英語は絶対に必要だということを強く感じました。

車内でのやり取り

車掌の仕事の一つとして、車内巡回があります。車内温度の管理やお客様の安全監視、車内券購入やICカード(ことでんではIruCa(イルカ)という独自のICカードがあります)のチャージなど多岐にわたります。どの系統の乗務を担当してもラッシュアワーを除き車内巡回は欠かせません。特に琴平線乗務のときは駅間距離の長い区間(円座〜岡本、栗熊〜岡田間など)のときなどに2回は行っていました。

そんなある日、下りの琴平線での乗務中に、羽はざま間〜榎えない井間で若い外国人カップルからアイコンタクトで呼ばれたのです。早速行ってみると、つたない英語だったのですが、琴平までの乗車券が欲しいということでした。

そこで、こちらもわかりやすい表現の英語を使い、しっかりと応対したら笑顔で応えてくれました。車内券を発行中、私から「どちらから来られましたか?」と尋ねたら、ミャンマーの方だったのです。