どうなると認知症なのか
1.失認
感覚は正常なのですが、見たり、聞いたり、触ってもそれが何か分からないことをいいます。いつも使っているものを見ても何か分からず、使えません。これを視覚失認というのですが、両側の後頭葉に障害がある時に起こります。色が分からないのを色彩失認といい、左側(優位半球)の後頭葉に障害があると現れます(図1)。
人の顔が区別できないことを相貌失認といい、娘を妻と見間違えることがあります。新しい記憶が失われ古い記憶が残り、昔の妻は娘と似ていたのでしょう。認知症の人の場所細胞や格子細胞が障害されてしまい、空間情報を認識して上手く操作することができないことがあります(視空間失認)。徘徊は視空間失認を基に起こるようです。
地図の上での見当識障害があり、大阪などの都市の場所を示せなかったり、知っているはずの場所や道が分からなくなったりします(地誌失認)。これは右側(劣位半球)頭頂葉~後頭葉の障害で起こります。
2.遂行機能の障害
物事を器用に実行できにくくなり、計画を立てても実行できません。意欲低下(アパシー)によると思われますが、実行しないので、周囲の人はイライラして怒ります。病気によるものなので、許してあげて下さい。
「急がばまわれ」など諺の意味が分からないことや、「猫と虎の類似点と違い」など抽象的思考ができないことがあります。このように様々な認知機能障害が認知症では見られます。