ちなみに中村さんのお話の中で、ジュースのお遣いでも走って買う、相手が思っているより早くジュースを届けるという話があるのですが、もちろんそれもやっていました(笑)。
このような事例をたくさん繰り返していくと、次第に周囲の反応が変わっていくのを実感します。周りの方がどんどん笑顔になっていくのです。それを見て自分も自然と笑顔になる。
億劫だと思っていた教育実習は、こんなにも面白いものなのか、と感じるようになりました。このような経験から、「自分も多くの方を笑顔にしたい」という想いが膨らみ、いつしか教育現場に関わりたいと思うようになりました。
そして、大学を卒業しそのまま先生になるか、社会経験を積んでから先生になるか、周りの方にとってどちらがプラスになるかを考えた結果、後者を選択しました。
当時、様々な技術の発展に伴い、これからの人間にとって必要なものは従来の知識を詰め込む教育ではないと感じていました。本当に大切なのは、何より自分の人生を楽しみ、自己実現のために実際に行動できる力を身に付けるための教育だと思います。
そのために自らが社会経験を積み、酸いも甘いも自分の経験として話せるようになることが必要だと思い、一般企業に就職することを選びました。
就職先は人との繋がりを大切にしている企業を志望し、会社説明会で熱を帯びていた大手外食チェーンから内定をいただき、就職することを決めました。
頼まれごとは試されごと 中村文昭
三重県出身の中村文昭さんは、上京した理由を
「東京にいることがかっこよく地元の友達にうらやましいと思ってほしかったから」
と語っています。東京に住んで地元に帰った時に自慢したい、その一心だったそうです。
そんな中村文昭さんが師匠との初対面の会話の中でかけられた言葉は次の通り。
「もし、何十億も稼いでお金が余るほどあったら何に使うんだ? 何のために稼ぐんや?」
中村文昭さんの返事は
「いい車に乗りたい、いい家に住みたい、海外旅行に行きたい」
だったそうで
「お金の使い道は自分のためしかないのか」
と𠮟責されたそうです。
中村文昭さんはこの言葉で我に返り、新しいことをする時は、常に自分が今やることは「何のために」行うのか。仮にお金が稼げた時に「何のために使うのか」を明確にしていると語っておられます。
「頼まれごとは試されごと」とはやや話題がずれましたが、どんなことでもその目的や目標を考えて実行すれば、本当に相手を喜ばせることに繋がっていくのだと思います。