転院、リハビリスタート
【理学療法】
大きな空間にストレッチなどを行うベッド、歩行訓練のための平行棒、筋トレを行うような様々な器具、小さな階段、そして大勢のリハビリに励む患者さん達……
初日のリハビリは、前半ベッドの上でストレッチ。ベッドに移るのもコツがあり、右半身麻痺の場合ベッドの右側に行き、ベッドに対して斜め45度の角度で車椅子を停車しブレーキをかける。
サポートしていただきながら左足の力を利用し立ち上がりベッドに座る。座った後にゆっくり横になる。右足は皮膚の感覚はあるが力が入らない状態だった。足の麻痺状況を確認しながらストレッチを行い、足を動かしていく。
後半は平行棒に行き、平行棒前で車椅子にブレーキをかけた。
『何をするのだろう?』と思っていたら立ち座り動作の練習だった。
もちろん、すぐに歩くことはできないと思っていたが、平行棒が何のためにあるのかをはじめは分からなかった。しかし、その疑問は練習を始めて、すぐに理解できた。
何もない場所でできるはずもない。平行棒という両サイドに守り神のような棒があるから立つ勇気を持てた。
そう、まずは立つ練習からだ。
療法士は真正面にいて、私がふらつけばいつでも支えられるようスタンバイしてくれている。私は左手で平行棒を持ちゆっくり立つ。倒れて以来、サポートはあるものの初めてしっかり立った。そしてまた、ゆっくり座る。立つこと、座ることを着実に体に覚えさせるよう、ゆっくりと行う。
10回ほどしたら休憩し、再度行う。あっという間に60分が経った。
「じゃあ、今日はこの辺で終わりましょう」
「ありがとうございました」
車椅子を押していただき病室まで戻る。
「ありがとうございました。また明日もよろしくお願いします」
と療法士に言った。