その点、M&Aでは、そのすべてが最初からある程度揃っています。会社を買ったその日から営業ができます。こんなに恵まれた環境はないといえるのではないでしょうか。
一方、個人でM&Aをすることのデメリットは、人物・モノ・金・情報、すべてにおいて〝見えない部分〟があるということです。
どういうことか説明しますと、ゼロから起業する場合は、取り扱う製品から取引先様、人間関係まで、一つひとつの工程を自ら積み上げていくため、会社のことを一番知っている、自分にとって最もやりやすい状況にあります。
それと比べると、〝自分が一番知らない〟状態からスタートするのがM&Aだともいえます。従業員や取引先、仕入れルートや財務、取引銀行などに関して、ありとあらゆるものが自分の知らない状態からスタートするのです。
これはビジネスを進めていくうえで第一のハードルであり、さらにこのハードルで会社がこけてしまうことも十分にあり得ます。
そのため、M&Aでは最初の交渉がはじまってからの情報収集が特に重要になると考えます。
このように一長一短あるM&Aですが、個人でM&Aを行った体験記として、私の会社員時代のエピソードも交えながら書き綴っていきたいと思います。