昭和四十四年東京地裁八王子支部判決と医師法第21条を考える

厚労省発言にしばしば登場する「法医学的異状」という言葉の出典は、昭和四十四年東京地裁八王子支部判決文であろう。医師法第21条に関する判決で、東京都立広尾病院事件以前の判決は、この昭和四十四年東京地裁八王子支部判決くらいであると思われる。

平成三十一年(二〇一九年)二月八日医政医発0208第3号厚労省医政局医事課長通知の「医師が死体を検案するに当たっては、死体外表面に異常所見を認めない場合であっても、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、異状を認める場合には、医師法第21条に基づき、所轄警察署に届け出ること」との一文も、この東京地裁八王子支部判決の一部を抜き書きしていると思われる。

また、本判決は「経過の異状」説として取り上げられているが、ここで、判決文(判例秘書より引用)を記載し、本判決の意味を考えてみたい。

東京地裁八王子支部判決

1.判例番号 L02430112
医師法違反、虚偽診断書作成、同行使、医療法違反

2.事件番号

東京地裁八王子支部判決/昭和四十二年(わ)第4号

3.判決日付

昭和四十四年三月二十七日

4.判示事項

医師法第21条にいう「死体を検案して異状(原文は異常とあるが誤記であろう)があると認めたとき」の意義

5.参照条文医師法21条医師法33条

6.掲載誌

刑事裁判月報1巻3号313ページ