俳句・短歌 句集 四季 2021.05.10 句集「抱く」より三句 句集 抱く 【第40回】 松永 みよこ ―春― 身に余るミモザ抱えて人を待つ 猫の恋吾よりいくばくかは清く ―夏― 膝頭抱いて鎮まぬ青嵐 幸せを温めなおす五月かな ―秋― 千の菊抱きてあまりにも一人 りりりるり鈴虫まねてけんか終ゆ ―冬― 雪うさぎ今消えゆきし身を抱き 酉の市ちがう男の手も温し 平成の句姫、みよこの初句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 朝顔に別れ告げたる夜明け前 先立ちし者もう追わじ残る蝉 立秋やこみ上げてくる別れあり
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『我輩は清掃人じゃ』 【第6回】 ホモ・サピエンス 仲間に助けられて清掃業の初出勤は無事終了。疲れて帰るとドアの前に黒い物体!? そうこうするうち、午前の労働は終了し、お昼休憩じゃ。食事は綺麗な環境でできるものと安易に考えていたのじゃが、ビル内の小汚い部屋が用意されており、控室に使えとの旨が伝えてきてある。安住はどうするものか、気になってはいたものの、弁当を持参していたのじゃ。我輩は、今朝食べた残り物を持ってきたので、食欲旺盛な我輩は、午後のお仕事に負けんよう、胃に流し込んだ。「お主、その弁当、母上が作ってくれたのかの?」…