財務取締役がすべき5項目

財務取締役になって最初にすべき必須項目は、次の5点です。

①会社法と合弁契約から、株主総会、取締役会での議題のあげ方、各会の定例での開催の時期、何が通常決議で何が特別決議なのかの層別をする。そして、その理解を事前に合弁相手とすり合わせ、取締役会に付議し、社内徹底し、ひたすらその決め事を守る。

②遵法の管理点を、カンパニーセクレタリーと共に取り決め、各部の順法管理のうち、何を取締役会で報告するか合弁相手とすり合わせ、取締役会に付議し、社内徹底し、ひたすらその決め事を守る。取締役会で報告する順法管理点で発覚した異常は、対策とともに、取締役会で報告する。

③信用できる労務コンサルタントと、労働関連法の視点から、社内規定の決め事を点検し、取締役会の承認のもとそれを公布し、社内徹底し、モニタリングする。

④会計、税務を自分で勉強する。インドの財務諸表の表示単位は、10万INRなので、これが金額の重要性判断の閾値となる。10万INRなどは、会計、税務の世界では簡単に超える数値。事故があった場合は、その対策とともに、取締役会で報告する。

⑤ばれる嘘はつかない。あとでわかる事故は隠さない。

この5つを実行しないかぎり、合弁相手の取締役の信頼は勝ち取れません。

とにかく、決め事をして、それを守る、報告する姿勢が重要で信用を勝ち取るのです。

私が経験したの在住経験のあるタイの合弁相手の多くは、サイレントパートナーで、利益をあげて配当だけ払えば、口出しはしません。

しかしインドの取締役の地位は、中央政府の会社法当局への届け出制で、合弁相手の取締役も、当然、会社法当局から取締役番号(Director Identification Number)を付与されています。

ですので、インドの合弁会社の取締役は、決してサイレントではなく、会社の成績の他、前述の法務の仕事の範疇においての善管注意義務を果たすことが求められています。

都合の悪いことを隠したりすると、相手の注意喚起義務を侵害することになります。取締役会、株主総会は真剣な議論の場であり、財務状況報告、決算報告をする財務取締役は、真剣白刃取りの覚悟で、説明、質疑応答に応じなければなりません。