俳句・短歌 短歌 自由律 2021.05.01 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第40回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 青春の若葉繁りて燃える恋 こぼれる愛からめた指のすき間から 恋成就きっと嬉しいふっと淋しい
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第28回】 行久 彬 連日茹だるような暑さのなか夏祭りのボランティアで寄付集めに厄介な所へ回ることになり… 梅雨は漁師泣かせである。重いゴムのカッパを着て行う船上の作業が鬱陶しいのだ。その鬱陶しい梅雨が明け、志摩地方も一気に喧しく蝉が鳴く夏を迎えた。志摩市港町の小学校も夏休みに入り、男の子も女の子も子供たちは雨の日以外は毎日近くの浜辺に泳ぎに出て漁師以上の日焼けした顔になった。港町では、毎年八月初めの土曜と日曜の二日間を掛けて夏祭りが催される。この夏祭りの二日間は、漁師たちも漁を休み、港町は町中が祭り…