万引きがやめられない女たち
性依存になるのは男性が圧倒的に多数で、女性は少数派です。女性に多いのは、買い物依存、ギャンブル(パチンコ・パチスロ)依存、過食・拒食、そして最近とくに目立って増えているのが「クレプトマニア」(窃盗癖)です。窃盗が病気なのかと思われるかもしれませんが、国際疾病分類(ICD︱10)にも「病的窃盗」として規定されているこころの病です。
窃盗にもいろいろありますが、クレプトマニアの場合はほとんどが「万引き」です。計画性はなく、スーパーやコンビニに入って手近なものを盗って店を出てきます。本人にお金がないわけではなく、盗んだものがどうしても欲しかったわけでもありません。盗みをはたらく瞬間のスリルや、成功した瞬間の満足感・高揚感に取りつかれているのです。
盗んだものをなに食わぬ顔で持ち帰る常習者もいますが(日用品の8割を万引きでまかなっていたとする者もいました)、店を出たとたんに後悔の念にさいなまれその場で捨てていたとか、まれに現場に返していたという者すらいます。利益のためではなく、万引きという行為そのものに依存している証しです。
都内在住のある50歳の女性は、夫と子どもが3人いる見た目にはごくふつうの主婦ですが、万引きで何度も警察につかまりました。