今の国会は学校区で問題が生じた時に集まるタウンミーティングに毛が生えた程度のものになる。資本、労働、応用技術、財務金融政策などの重要事項は世界ベースで多種多様な機関、例えばIMF(金融政策)、OECD(徴税政策)、国連(気候変動対策)そしてG20などで決められることになる。
この場合指導者は選挙で選ばれず、しかも永続的な存在になる。G20のリーダー達は時には国での選挙に臨むが、この体制は編成されているため、どの党のリーダーが選ばれても、グローバリストの課題が通ることになる。
グローバリストはその課題がズバリ述べられたら、どれほど人気が無いかよくわかっている。だからグローバリストはその根拠にある前提を検証するなど全く興味を示さない新聞により繰り返されるまやかしの議論に訴えるのだ。
グローバリストの主張する『自由貿易』とは19世紀初め、卓越した経済学者デイビッド・リカルドにより示された比較優位理論によるものと推定される。
リカルドの理論はどの国も製造、鉱業、農業のすべての分野において自給自足できるよう努力すべきではないという見解に基づいている。
その代わり、国はそれぞれ労働、資本あるいは自然資源における優位性に基づき最も得意な分野に特化し、そして他国には彼らの優位分野に特化させるべきだとした。
そうすれば国は自分たちが作った物を他国が作った物と取引することになる。それぞれ自然の優位性があるため、双方とも財貨への特化により価格が安くなっており全員にメリットが生じるというのだ。
しかし、優位性を作り出すインプット要素は静止状態にあるわけではない。もし、A国が税制上の優遇でB国から資本を誘導し、基本的な製造能力と安い労働力を組み合わせてハイテクのロボット産業を作りあげたらどうだろうか。
A国は仕事は豊富になり、技術もあるが、B国には仕事が無くなり、貿易赤字になり、B国へ外国資本による直接投資や金融資産の運用投資が流入することになる。
これは極端な例に見えるが、実は中国とアメリカの関係に似ているのだ。すなわちアメリカの資本形成の優位性が中国に吸い取られ、その結果中国は労働と資本の双方で優位性を持ち、2国間での巨額の貿易黒字を計上している。