高野いじり 二〇一八年十月
さて、空海へのご挨拶も済ませ、他を巡ることに。時刻も正午を過ぎ、お腹が減った。何を、何処で、食べるべきか。
一週間前から、金剛峯寺周辺グルメマップを眺め、悩みに悩んだ。スタンダードは精進料理(でも、水っぽい)。山の幸を味わうなら山菜の釜めし(う~ん、炊き上がりに時間がかかる)。腹一杯になるなら中華(女房を説得できない)。
結論として、高野山大学の学食で食べることにした。
えっ、何故かって。では、こちらから質問をさせていただこう。
旅の醍醐味とは何ぞや。その答えは、いわずもがな。非日常との遭遇だ。
高野山の探訪は非日常との遭遇だ。非日常空間である高野山で、いい歳をした夫婦が学食で学生に交じって食事をする。これは、さらなる非日常との遭遇となる。
つまり非日常の自乗。旅の醍醐味が倍増すると僕は計算した。
女房には「とにかく、精進料理が安くて、美味しいから」となんの根拠もない説明をして、僕は当たり外れのないカツカレーを食べるつもりで、高野山大学へタクシーを飛ばす。
土曜日のキャンパスはしんと静まり返っている。真言密教系の大学だけに、学生たちは写経に勤しんでいるのだろうか。それとも瞑想の最中か。もしかしたら護摩の修法の実習をどこかの寺でしているのだろうか。