四天王の猛々しさを凛々しさへと昇華させた傑作に酔い痴れる。カッコ良過ぎるぞ仏法戦隊・四天王。

よくよく見てみると、邪鬼の奴、カッコ良い四天王から踏みにじられ、苦悶ではなく、喜悦の表情を浮かべているのではないかと疑った。

また、四天王の甲冑から、はみ出した衣の襞は柔らかく、そして優美に表現され、「どのメーカーの柔軟剤を使ったのですか」と思わずきたくなった。

四天王に躍動感を与えているのは、デフォルメされた腰の捻りである。ベリーダンスを遥かに凌駕している。帰路の新大阪駅、突き刺さる利用客の視線も何するものぞと、トイレの姿見の前で同じポーズをとろうとしても無理だった。

この四天王の圧倒的な迫力。僕は思わず、女房の細腕を握り締め、ふっ飛ばされないように両足を踏ん張った。迷惑顔の女房。感動を共有できないもどかしさ。

女房よ、あなたは日本史を選択するべきだったと呟いた。ここで正直に言えば、僕は快慶の四天王で、燃え尽きてしまった。

そう、灰になった。そのことを、まだまだ観光を楽しんでいる女房に悟られないよう、残り時間で、高野山の中心である壇上伽藍等を見て回った。