第一印象がすべて

以前のことですが、出勤時に会社の近くを歩いていると、小柄な外国人が向こうから歩いてくるのが目に入りました。その外国人は、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長を思いっきり優しくした感じで、直感的に気が合いそうな印象を受けました。

すれ違い様に、ちらっと顔を見たら、何と彼もこちらを向いて、「ニコッ」と微笑んでいるではありませんか。思わずこちらも、「ニコッ」返しです。

お互い、そのまま通り過ぎただけのことですが、ゆっくりと話をする機会があれば、おそらく、相通じる何かがあったかもしれません。間違いなく、良い第一印象の外国人でした。

今度は、ある外資系日本法人で、社長を務めた方の話です。幹部候補者を採用するに当たって、最終面接をするのですが、その社長にとって、採用するか否かの判断は、面接が始まってからわずか最初の数分で決まってしまうそうです。

幹部候補ですから、入社してからの上司は社長ということになります。従って、面接の中で自分の好みに合った人物なのか、自分の役に立ちそうか、入社させても、安心して一緒に仕事ができるか否か、などを「瞬時に判断」していたわけです。

この場合、仮に面接に不合格となったとしても、社長と合わなかっただけのことで、相手が変われば、良い結果となる場合もあります。「合否も、所詮は好き嫌い」と割り切って、忘れてしまったほうが、精神衛生的にも良いでしょう。

人は、他人と会ったその瞬間に、「自分の敵か味方か」「自分の役に立つかどうか」を判断しています。「第一印象」を侮ることはできません。

会って話し込むうちに、打ち解けてきて、「なんだ、結構いいやつじゃないの」とか、「この人とならやっていけるかも」となる場合もありますので、第一印象がすべて、というわけではありません。

しかし、人は間違いなく最初の印象で、ある程度の区別を、無意識のうちにしています。まさに、人間として生き残るための「本能の成せる業」と言えましょう。