挨拶回り
質素、なんて言ったらバチがあたりそうである。とてもヘルシーで健康的なお昼ご飯をアッキーママはぺろりと残さずに食べてしまった。あんなにすごい、てんこ盛りの白いご飯も上げ膳、据え膳で心から感謝してご馳走さまをした。
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あれっ、何かみんなが一列に並んでいるではないか、何なのだろうか? 最後にデザートにプリンでも出るのか、まごまごしていると、前歯一本がまたまたやって来て、
「おい、飯はもう食ったかい? そしたらあの列の最後の人の後ろに並んでおいで」
「なにがあるのですか?」
「まあ、お楽しみにしておこう。終わったらまた、レストラン・菜で待ち合わせをしよう。ここの常夏ハワイアンズをたんまりと案内するからな」
前歯一本は一方的に伝えるとどこかに消えてしまった。次々と人が減りアッキーママの番になった。あっ、やっと大滝ナースに会えた、が、大滝ナースは忙しそうに手を動かしながらも優しく言うのだった。
「アッキーママ、お昼ご飯はちゃんと食べた? はい、これはアッキーママのお昼のお薬よ。今、ここで飲んでね、確認するわ。時々嫌がって吐き出す人もいるのよ。薬はみんなそれぞれ違うからね、絶対に間違ってはならないの。今はゆっくりと話せないけれど、前歯一本にアッキーママの事を頼んであるから、何でも聞いてね。しばらくしたら七〇七号室に様子を見にいくから、またね」
「はい、お願いします」
アッキーママのすぐ後ろの人は、いらいらとじれったそうに薬の順番を待っていた。前歯一本のことは、そういうことだったのか、大滝ナースに信頼されているのなら案外、いい人なのかも知れない。
常夏ハワイアンズを案内してくれるそうだから、アッキーママはここのレストラン・菜で前歯一本を待つことにした。少しするとゆっくりと歩いてやって来た。
「遅くなったな。ごめんよ、歯を磨いてきたよ。ゆいいつの一本が無くなったらおしまいだからな。ただのじいさんになっちゃうよ」
「は~そうですね」