「邂逅」10歳から11歳:運命の出会い 5
そこに三枝子が入ってくる。
「翼、また星を見てるの」
「うん、ママも昔よく星を見てたんでしょ」
「そうね。その望遠鏡はママのだもの」
「スケートをやるのをお星さまに報告してたんだ」
「そう、スケート楽しみでしょ」
「うん、ジャンプするのが本当に楽しい」
「あなたのその顔を見るだけでママは嬉しいわ」
「頑張る。あっ流れ星」
翼の指さした方向を見る三枝子。流れ星が糸をひくように落ちていく。
「願い事した?」と三枝子。
「ばっちり」
「そう、よかったわね。あなたが生まれた年は流れ星がたくさん降ってきた年なの。あなたがお腹にいる時、ここ
から星をよく眺めていたわ」
「ママもたくさん願い事した?」
「そうね。いい子が元気で生まれますようにってね。そして願い事はかなったわ」
「元気というのはかなったよね」と笑う翼。三枝子もつられて笑う。
三枝子はポケットから布に包まれた石を取り出す。石は水晶のような半透明で薄い青色をしている。
「ママのお守りね」と石を見て言う翼。
「そう、空から降ってきたお守り」
「持たせて」
翼が持つと一瞬、輝く。顔を見合わせて驚く2人。
「今輝いた! 今まで一度も輝いたことなんてないのに」と驚く三枝子。
石をさわったり振ったりする翼。石は光らない。
「あなたが持ってなさい」
「いいの?」
「あなたが持つべきものなのかもしれない。あなたが生まれた時に天から降ってきた石だから」
石を大事そうに握り締める翼。