第二話 それぞれの挑戦 1

カナダのトロント郊外にある大きな一軒家。高さ3mほどの大きな門がある。その門から玄関までは、

30mはあり、そこにある2階建ての邸宅を囲むように色々な種類の木や花が植えられている。邸宅の裏には、広々とした芝生の庭がある。庭の横には、大人が泳げる大きさのプールもある。お手伝いも2人いる。

リビングには麗子と母親の良子と父親の光一がいる。良子も光一も身に着けているのは、部屋着ではあるがブランド品である。また、2人とも、フィギュアスケーターだった頃の体型を維持している。

「麗子、野辺山合宿はどうだった」

「去年参加した時は周りの人が大きく見えて焦ったけど、今年は落ちついて過ごせた」

「もうすぐ全日本ノービス選手権だろ。どうなんだ?」

「間違いなく優勝できるわ。そしてジュニアの大会に出るの」自信に満ちた表情でしゃべる麗子。

「自信あるんだな」

「麗子の言っていることは本当よ。私も合宿で見てきたけどライバルはいないわ」と良子も確信を持って言う。

「まあ、私もママも全日本チャンピオンだし、麗子にはその血が流れているから当然か」

リビングには両親のトロフィーやメダル、優勝した時の写真などが飾られている。その横に箱に入った彗星のかけらが飾られている。

「私の目標はパパもママもできなかった世界チャンピオン。必ずなってみせるわ」

「麗子、焦らず一歩一歩よ」

「わかってる」

「もうすぐ練習の時間だろ。用意してきなさい」

「はい、準備してきます」

麗子は、リビングから出ていく。

「今からあれだけ勝ちにこだわるのも心配になるな」

「あの子は強い子だから大丈夫よ」