運命の捜索三日目
金曜日、捜索三日目。ヒョウゴは新幹線杜都駅で朝七時に待ち合わせた。昨夜のメッセージで、すぐ下の弟・イオリは昨夜のうちに実家に着いているはずだった。朝一番の新幹線に乗って来ると。父・良典しか車に乗って来ていなかった。聞けば、母・明純が持病の喘息発作を起こしたので、明純の車をイオリが運転し、緑区にある明純の主治医のもとで朝イチで点滴してから、武蔵山脈に来るとのことだった。昨日の様子から考えても、もともと身体が弱く、いくつも持病を抱えている明純なら、当然の結果と思えた。
「蒼輔には話したのか」
「話したよ」
「蒼輔は……」
「……いろいろ考えてると思うけど、難しい年頃だから」
※本記事は、2020年12月刊行の書籍『駒草 ―コマクサ―』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
人物紹介
岬 良典(みさき りょうすけ)……六十六歳
岬 明純(あすみ)……良典の妻 還暦
岬 兵庫助(ひょうごのすけ)……良典・明純の長男 東京都在住 プログラマー 愛称・ヒョウゴ(尾張藩師範・柳生兵庫助・柳生宗矩の兄の息子の名より)
岬 瑠布乃(るうの)……兵庫助の妻
岬 蒼輔(そうすけ)……兵庫助の長男
岬 霞音(かおん)……兵庫助の長女
岬 伊織(いおり)……良典・明純の次男 千葉県在住 医師 愛称・イオリ(宮本武蔵の養子・宮本(三好)伊織より)
岬 晶那(しょうな)……伊織の妻
岬 累矢(るいや)……伊織の長男
岬 那瀬(なせ)……伊織の長女
岬 索良之介(さくらのすけ)……良典・明純の三男 神宮県在住 看護師 二十七歳 愛称・サクラ
岬 リョウ子……良典の母・十五年前に九十三歳で亡くなる
沢井 幸三(さわい こうぞう)……明純の父 八十七歳 重度の認知症
沢井 冬子……明純の母 八十五歳 老々介護をしている
沢井 一道(かずみち)……明純の弟 東京都在住 五十五歳