著者・村瀬英晃氏と個性豊かな社会人で行っている勉強会、学生時代の恩師とのやりとりから生まれた自由な発想やアイデアで問題解決に繋げる水平思考について連載形式で紹介します。

第2章 地球温暖化に関して:女学生グレタさんによる気候ストライキ

まずは「パリ協定」に焦点を合わせ、産業の新しい動きやゴミ問題等について考えてみたい。

※参考サイト 全国地球温暖化防止活動推進センター https://www.jccca.org/

最初に国際的な会議の経緯をおさらいしておこう。

COPとは、締約国会議(Conference of the Parties)の略。地球環境問題の会議として知られているが、環境問題に限らず、多くの国際条約の中で物事を決定するための最高決定機関。

パリ協定(2015年)とは、地球温暖化防止を目指して、温室効果ガスの排出についての2020年以降の各国の取り組みを決めた(化石燃料を使わないことを目指す)人類史上初の国際的なルールで、2015年12月に国連の会議「COP21」で190カ国以上が合意し採択された。

2016年11月に発効され、法的な効力を持つようになった。2018年11月時点で197カ国・地域が締結している。この協定により、世界全体として、主に以下の2つの目標を掲げて努力することが決まった。

産業革命前からの地球の気温上昇を2℃未満に、出来れば1.5℃未満に抑える努力をすること。そのためには、21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすること。

この目標達成のために、各国に対して「自主的な削減目標を国連に出すこと」と「達成のため、削減に向けた国内の対策を取ること」を義務づけている。

なお、日本の目標は、2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することになっている。

さらに、2017年は自動車の電動化の動きが世界的に明確になった年で、北欧ノルウェーで、同年1月に販売された乗用車のうち、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンのみを備えた自動車の比率は初めて5割を切ったと知った。

逆に伸びているのは、プラグインハイブリッド車(PHEV:20.0%)と、純粋電気自動車(EV:17.5%)で、合計すると37.5%となった。このトレンドは、自動車業界に限らず、様々な業界へ波及していくはずだ。

2018年、ポーランドでCOP24を開催。メインテーマは、パリ協定を実施するためのルールづくりだった。

2019年、スペインでCOP25が開催されたが、小泉進次郎環境相は、脱石炭(石炭火力発電の廃止)に踏み込めず、不面目な「化石賞」に甘んじることになったとニュースになった。

日本のエネルギー問題における複雑な業界への影響や利害調整、今後の技術開発やリスクマネジメント等について、自信を持った政策判断や問題提起は相当勉強しないと難しいと感じた次第だ。 (2020・1・17記)